吉井和哉 The Apples

吉井和哉6枚目のアルバム。8年以上をかけて、第一作目『at the BLACKHOLE』で鳴らした暗闇から遂に抜け出すことができたようだ。
本作は驚くべきことに、ほぼ全ての楽曲でギター、ベース、ドラムの演奏を吉井自身が行っており、まさにひとりバンド状態。結果として、吉井の手で鳴らされるその音は、初めて楽器を手にした少年のような喜びに満ち溢れたものになっている。また、楽曲も吉井そのものを体現するが如く、非常にバリエーションに富んだ仕上がりとなっている。UK,USA,JPロック、グラム、カントリー、ニューウェーブオルタナティブ、ブルース。吉井が影響を受けてきたであろう全ての音楽が、つまりは吉井和哉の魂そのものがこのアルバムには詰め込まれているのだ。

The Apples、林檎という形をとった原罪。THE YELLOW MONKEYの頃から一貫して、彼は音楽を通じて自らの罪に苦悩し、悶え、足掻き、抗い続けてきた。しかしどうやら、このアルバムでその長かった季節も終りを告げたようだ。自らが抱える逃れようの無い罪を、呪いを、血を真に受け入れたからこそ鳴らせる音楽がここにある。閉じた心の奥深くにまで降り、見つめ、自身の外へ向けて開いていくような一連の作品の流れは圧巻としか言いようがない。内容については細かく語らないが、もし作品の核であろう以下に紹介する二つの曲にどうしようもなく惹かれるものが少しでもあれば、騙されたと思って是非このアルバムを手にして欲しい。

あれから何年経ったんだ? 相も変わらずに困難だ
だけど毎日を できるだけgoodに

ミュージックステーションで『Flower』を歌った際、このように歌詞を変えることで被災地の人々に何かを伝えようとした吉井の思いが、より多くの人に伝わることを願ってやまない。