傷物語とねんどいろぷち化物語 

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そろそろ、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの事を語らなくてはならないと思う。ということで半額だったので忍野忍目当てで、ねんどいろぷち化物語セット其の参を購入。もともと幼女(の姿)なので、ねんどいろにしても違和感が少ない。



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実はライトノベルデビューをしたりと。
化物語の前日譚。主人公阿良々木暦が自称鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードを救うことから始まり、彼女と自分自身を「傷物」にすることで終わる物語。ハッピーエンドではなく、誰もが救われない形を提示するお話。
西尾維新作品の特徴は軽快な言葉運び。ユーモアやときに下ネタを交えながら、実にテンポ良く物語が進む。その軽快さを担保しているものの一つが、恐らくは会話の多さ。その辺りがライトノベルというカテゴリーの特徴なのだろうか。そもそもライトノベルの定義って何だろう。いずれにせよ、この作品のカテゴリーが何であれ、そこには通奏低音のように重厚なテーマが横たわっており、読む者をどうしようもなく惹き付けることは間違いない。

善であれば、優しければ、被害者であれば、全てが許されると人は無意識のうちに思い込みがちだ。しかしそこには実際のところ、圧倒的な「偏見」が存在する。善と悪、被害者と加害者、その境界は本来曖昧なものである。価値観なんてものは立場や時間によって簡単に180度変化する。しかし、往々にして善良であると思い込んでいる人間はその当たり前のことが理解できていない。自身とは異なる正義や価値観を認めず、自らの正義の旗の下に相容れない者たちを断罪する。自身が犯している罪になどこれっぽちも気づかないうちに。
だからこそ我々は常に自らに疑いを持たなくてはならない。公正(平等ではなく)であることを意識しなければならないし、作品中の言葉を借りるのならば、日和見主義者でなくてはならないのだ。大切なのはバランスなのである。我々は神でも当然悪魔でもなく、故に100%なんてこの世に存在しないのだから。



というようなことをサラリと言ってのける素敵な小説です。アニメ化も決定したので今から非常に楽しみ。どうも映画化、劇場公開となるみたいですね。かなりグロテスクなシーンもあるので、当然の流れかな?